どんなに機械化されてもお茶製造の原点は手揉みの技術です。
お茶の加工機械は手揉みの技術を機械に置き換えることで発達してきました。 人の手の動きや柔らかさ、揉みしだく力加減も熟練の茶師の技を手本にしています。 それでもすべてが機械にゆだねられたわけではありません。 茶葉は生き物、生葉の状態から祖揉・揉捻・仕上げまでの各工程で茶師たちは何度も手にとって感触を確かめます。 機械を操作するわずかなさじ加減は手に染み込んだ手揉みの感触が決め手となるのです。 わずかな感覚の違いが品質にダイレクトに反映される、デリケートなお茶づくりだから、 手揉みの技術がいつまでも欠かせません。 |
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手揉み製茶は各地の保存会によって年間数回ほど「手揉み会」行事として開催されます。お茶のシーズン中は本来のお茶製造のため行事を開催する時間がほとんどありませんが、かといってお茶の摘み取りシーズン以外では、揉む生葉がありません。そこで各地の保存会は手揉み会用の生葉を冷凍保存しておき、その日に使います。 ここでご紹介する手揉み会は、2008年3月に行われた「浜岡茶手揉み保存会」の手揉み会です。本拠地とする牧ノ原台地南西端に位置する丸池製茶株式会社の献上茶用ハウスで栽培された「さえみどり」を、当日摘み取って手揉み製茶しました。仕上げの手揉み映像は1月3日に同じ浜岡茶手揉み保存会が丸池製茶で行った「新春手揉み会」の映像です。写真とムービーで小笠流の手揉みをご紹介いたします。
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浜岡茶手揉み保存会
手揉み会 会場:丸池製茶株式会社 2008年1月3日 手揉み会 2008年3月 手揉み会 手揉み 工程 蒸し(蒸熱)30〜40秒前後 冷却(常温にする) 葉振るい(露切り、葉打ち) 約40分 回転揉み(軽回転-重回転)40分-20分 玉解き 約5分 中上げ 約10分 揉み切り 約30分 転繰り揉み(散らし転繰り→強力転繰り)20分-20分 こくり 約40分 乾燥 120分以上 |
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献上茶用ハウスで栽培した「さえみどり」は鮮やかで生き生きとした緑の美しい品種です。 |
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1回に蒸す量を計量しています。蒸し器のキャパシティに合わせて量を正確に計量しています。微妙な蒸し加減で、均一にむら無く蒸すためにはとても重要な作業です。
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経験と勘がものを言う微妙な蒸し作業です。この作業でお茶の持つ酵素による発酵を止め品質を左右する重要な行程です。 |
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丸い木枠の底が金網(ふるい状)のマンパチに生葉を入れて20〜30秒、ふたをして蒸し、ふたを開けたら長箸で重なった生葉を広げてまんべんなく蒸気に当てます。再びふたをして数秒後、匂いに青臭さが無くなったら蒸し上がりです。 |
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蒸しあがったらすぐに冷まします。風に当てあら熱を取ると共に水分をとばします。 |
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ほぐしながら重なった茶葉がばらけるようにして、風に当て、熱を取り常温にまで下げます。 |
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葉振るい:焙炉(ホイロ)に拡げて加熱しながら葉を持ち上げてばらけ、葉の水分をとばします。「露切り」「葉打ち」とも言います。この行程で約3割ほど水分量を減らし、次の行程のために葉の一枚一枚がセパレートするようにして、揉み込む作業の準備をします
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回転揉み:体を左右に振りながら茶葉を転がすように揉みます。最初は軽く(軽回転)40分ほど揉んだら、徐々に力を込めて(重回転)20分ほどしっかり揉みます。 |
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玉解き:重回転揉みで出来たかたまりをほぐすように拡げます。小さな塊もまんべんなく指先でほぐして拡げます。拡げ終わったら集めて、いったん焙炉の外に取り出す「中上げ」をして仕上げ作業の準備をします。 |
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中上げしたら、こびりついた茶渋を水で溶かし,拭きあげて清掃します。仕上げ作業で艶のある美しいお茶を作るために焙炉の作業面である助炭(じょたん)をキレイにして次の作業に備えます。 |
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ここからムービーでご覧ください。揉み切り(茶葉を両手で挟み撚るように揉んで撚れ型を付ける)して、転繰り揉みでお茶の形を針のように細長く整えていきます。その後こくりという作業でさらに茶の形を整え艶を出します。
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2007年11月に御前崎市産業祭で行われた御前崎茶手揉み保存会の実演です。 |
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乾燥:茶葉を助炭にまんべんなく拡げ、真ん中に放熱用の穴を空けて2時間ぐらい置く。その間、何度か手返しをして乾燥ムラを無くします。 |
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すべて人の手でお茶を仕上げるには大変な労力と熟練の技が必要です。焙炉の作業面、助炭(じょたん)は40〜50度に熱していますから、熱くて体力のいる作業を数時間も続けなければなりません。しかも、こんなに手間をかけても一回に生産できる量はわずかです。 |
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